No.41 採録・撮影者◎川崎ぶら 被写風船◎ゴム
村上かつら『天使の噛み傷』
スピリッツ1997年11月10日号掲載分より、牛島さんのセリフ。
 大学の「比較文化概論」の講義で会う、下の名前すら知らない牛島さんは、友達があまりいないようだ。この講義はみんなで共有できるノートがあれば間に合うといい、自発的にその役を引き受けている牛島さんのノートをあてにするだけの「友達」なら何人もいるという。そして自分のことを「頼みもしないのにフェラチオをしてくれる女」のようなタイプであろうと、他人事みたいに分類する。
 変わっていて、でもちょっと可愛い牛島さんが何だか気の毒みたいに思えて、「僕」は、牛島さんと半分ずつ板書を写すことを提案する。
 そういうことを通して少し気が合ったと思ったら、牛島さんは、新聞屋にもらった野球のチケットを僕に二枚くれようとする。僕は一枚をもらって、牛島さんと二人で行くことにする。
 野球を見終わった後、僕が牛島さんを食事に誘ってみると、牛島さんは外食するよりも僕の部屋へ行ってみたいという。そして、ビールを飲むと眠ってしまう。
 終電をそのまま逃してしまえば………………、と僕は思うが、僕は別に交際中の女の子がいる身であり、一方でそんな騙し討ちのような卑怯なこともどうかと思ったので、まだ電車で帰れるであろう時刻のうちに牛島さんを起こす。
 牛島さんはしかし、すぐ起きようとしないばかりか、自発的に終電を逃す。
 僕が、その状況、つまり二人きりの宿泊状況が完成したことに対して猛烈に緊張していると、牛島さんは僕を見て笑う。牛島さんは、ひとの家で天井を見ながら喋るのが好きで、そのことに男も女もないのだと説明する。
 一方、僕が「へんなこと」を考えたかどうかを訊いて僕がそれを認めると――。

 そしてこの後、牛島さんは自分が「フェラチオ無宿」であると言い出します。

   
『村上かつら短編集』
『天使の噛み傷』は
第1集前半に所収。
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