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 「あのストーンズ」といえばコレ。
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2003年04月04日 22時37分39秒
[浦沢直樹の今週のヒッパレー] 特別編
[メイン・ストリートのならず者] THE ROLLING STONES
ストーンズ・ウィークが終わった。 今回の来日公演発表の頃は「ふーん、来るんだ」みたいな反応だった。 ストーンズが来るっていうのにこんなに冷静な気持ちでいられる時が来ようとは、20数年前、思ってもみなかった。 1990年の初来日、たしかにストーンズが来るという状況には大興奮した。しかし、実はその時点でなんとなく終わっていたのだ。1981年「TATTOO YOU」、それにともなうツアー映画「Let's Spend The Night Together」…。思えばあの頃が、私のストーンズ熱の頂点だった。 それ以降も、出れば買うという感じでアルバムやシングルを聴き続けたが、やはりひんぱんにかけてしまうのは「TATTOO YOU」以前のものだった。
1977年、NHKのヤングミュージックショーでオンエアされたパリ公演の模様が、私のストーンズライブ初体験だった。なんとも妖しく、なんともいかがわしく、変幻自在の異様なショーだった。 いや、凄まじいものが海のむこうにはあるものだなと、浦沢少年は思ったものである。 完全にストーンズ熱に火がついたのが18歳の時。観たい、生のストーンズが観たい。音楽雑誌の、まったく人として重さを感じさせない彼らのライブのグラビアを見ながら、あー、こんな大人になりたいと思ったものだ。 しかし'80年代、そんなストーンズが私の中で、リアルタイムでは急速にしぼんでいった。 初来日、二度目、三度目と足を運んだが、ついぞ「あのストーンズ」にめぐり会うことはなかった。
なんとなく情況が変わったのが今回の「武道館公演」が発表された時だった。'73年、例の来日中止騒動で幻となった「武道館公演」だ。いや、しかし、そんな懐古趣味に流されちゃいけない。別に武道館だからってなんだってんだ。演るのは今のストーンズだぞ。冷静になれ。 それにしても「武道館」か…。
3月10日、武道館。会場の外の雰囲気からして、いつもの武道館と違っていた。なんだ、この異様なノリは…。 武道館に「ローリング・ストーンズ来日公演」の看板が…。まるで「太陽を盗んだ男」の映画の一場面だ。 ま…まあいい。冷静にいこう。 会場内に入ると古いブルースが流れていた。観客は曲が終わるごとに大歓声をあげている。ステージは、暗幕がかかっているだけのいたってシンプルなもの。 開演時間になっても彼らはなかなか出てこない。海外のコンサートレポートでは、連中は1時間ぐらい待たせるのはザラだってよく聞くしな…。 などと思っていると、40分遅れでついに彼らが出てきた。
「Jumpin' Jack Flash」。オープニングとしては普通かな。 二曲目「You Got Me Rockin'」。んー、やっぱり今のストーンズ。やはりこんなものなのかな。 三曲目「Live With Me」……………………完全に情況が変わった。 なんだこれは。どうなってるんだこれは。 完全にギアが変わった。ついに観た。「あのストーンズ」だ。 コンサートで初めて、あのボブ・ディランのコンサートでも流したことのない涙があふれた。 そこからはもう誰も止められない。怒とうのストーンズが武道館全体を巻き込んでゴロゴロころがった。 ミックのファルセット炸裂の「Worried About You」。そこには'70年代の彼らが立っているのかと思うような「Midnight Rumbler」、「Can't You Hear Me Knockin'」。まさかコンサートで二度も泣くとは。キースが「Slippin' Away」を業の深さのみで歌い出した時、柄にもなく心に思った。「今まで、いろいろありがとうございました」。
3月16日、雨の東京ドーム。 サブステージが目の前ということで、生ストーンズを10数メートル先に観られるという好運に恵まれたが、ついぞこの東京ドームでは、あの武道館マジックは一度もあらわれなかった。 結局、ストーンズが悪いのではなく、東京ドームが悪かったのか、などと当然のようなことを思った。
これでストーンズも観納めかな…。と、毎度来日するたびに思うようなことを考えながら家路につく。 でもいいや、一度でも「あのストーンズ」が観られたもんな。 これで一生ストーンズのファンでいられるな。 いやあ、ホントよかった。
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